雇用保険の適用拡大について

令和6年5月10日に参議院で改正雇用保険法案が可決・成立しました。この法案には以下の内容が含まれています。

  1. 雇用保険の適用拡大(令和10年10月1日施行)
  2. 教育訓練やリ・スキリング支援の充実(施行期日混在)
  3. 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保(令和7年4月1日施行)
  4. その他雇用保険制度の見直し(令和7年4月1日施行)

雇用保険の適用拡大

  • 雇用保険の被保険者要件を、週所定労働時間「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大します。
  • 現状、週所定20時間の労働者を基準に設定されている①被保険者期間の算定基準、②失業認定基準、③賃金日額の下限額、最低賃金日額等を適用拡大の範囲である週所定10時間に対応したものとして見直します。

教育訓練やリ・スキリング支援の充実

  1. 自己都合退職者が離職期間中または離職日前1年以内に雇用安定や就職促進に資する教育訓練を受けた場合、給付制限を解除します(令和7年4月1日施行)。
  2. 教育訓練給付金の給付率を70%から80%に引き上げます(令和6年10月1日施行)。
  3. 在職中に教育訓練の休暇を取得した場合、基本手当に代わる新たな給付金を創設します(令和7年10月1日施行)。

育児休業給付の財政の確保

  • 育児休業給付を安定的に運営するため、雇用保険の保険料率を現在の0.4%から0.5%に引き上げます。国からの負担も増やし、財政の安定を図ります。すぐには引き上げず、現行の0.4%を維持し、雇用保険の財政が悪化した場合にのみ引き上げる予定です。
  • 男性の育児休業取得が増えることで、給付額も増えることが予想されるため、財源を確保します。
  • 現在の雇用保険料率は、労働者が賃金の0.6%、企業が0.95%を負担しており、そのうち育児休業給付にはそれぞれ0.2%、合計で0.4%が充てられています。増加分の0.1%も労働者と企業が半分ずつ負担するため、最終的に労働者は0.65%、企業は1%を負担することになります。

その他の雇用保険制度の見直し

  1. 育児休業教育訓練支援給付金の給付率を80%から60%に引き下げます。
  2. 暫定措置として、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等を令和8年度末まで継続します。
  3. 就業促進手当の見直しを行います。

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